日本の食卓の伝統として、とりわけ京都では季節に合わせた器をつかうことが大切なこととされています。したがって京焼の器の形や文様は季節のうつろいや、盛付けられる四季折々のたべものに合わせ、細心の注意をはらって意匠されています。
春。華やいで色めく桜の素晴らしい里景色。とりどりの春草と共に桜は器にとって欠かせない主題です。
うんざりする暑さや湿気を少しでも忘れられるようにとの配慮から、夏用の背の低い広口の器や皿には流水や波紋があしらわれます。また、繊細に絵付けされた朝顔や夏草文様は、盛付けられた料理にここちよい涼感を与えます。
秋。器一面を紅や金色の紅葉が飾り、菊や萩文様の器に温かいたべものが盛り付けられます。
冬は器の形も一変し、夏の背の低い広口の器と対照的に、たべものがさめないようにと、背の高いこっぽりした形のものが用いられます。また、お正月の器には、松竹梅(歳寒三友ともいう)などの吉祥文様がよく使われます。
このように食器は、繊細でここちよい風流を味わい、季節感を楽しむものとして使われています。 |